説教題:「イエスの物語の始まり」
聖書:ルカによる福音書 第1章 1~4節
説教:齋藤 善樹 師
賛美:「天なる神には」「神の御子は」
「イエスの物語の始まり」
ルカという人がイエス・キリストについての長い物語を書こうとしています。すで
に、この時には既に何人もの人々がイエスについての文書を書いていましたが、ルカ
は改めて自分で資料を集め、イエスと交流のあった人々から話を聞きとり、一つの物
語を描き、テオフィロという人物に献呈しようとしました。ルカはイエスと同時代に
生きた人ですが、イエスやパウロよりも年下で、住んでいた国も違っていたので、直
接にイエスに出会ったことはなかったようです。ですから、様々な資料や人々からの
話を聴く必要があり、相当な時間と労力が必要だったと思います。
驚くことにこの長い物語は、そもそもたった一人の人のために書かれました。テオ
フィロという人ですが、この人はおそらくローマ人かギリシャ人で、政府の高官か軍
人で、相当な地位にあった人のようです。テオフィロは既にクリスチャンであったか
もしれないし、まだ未信者で、ある程度の知識を持っており、求道中だったかもしれ
ません。ルカは自分の描く物語が、テオフィロの心に触れて、喜びと恵みの人生に
入って欲しいと願ったのです。ルカの描いた物語とは喜びの物語です。ルカは、テオ
フィロに伝えるために、論文のような形式は取りませんでした。物語のかたちをと
り、イエス・キリストについてのメッセージを伝えようとしたのです。
ルカが描いた物語は喜びと愛の物語です。神が人(あなた)を愛し、その独り子を
この世界(あなた)に送られたという物語です。今日はルカの描いた「受胎告知」と
いうクリスマスの物語の一つを紹介します。天使ガブリエルが神から遣わされて、ナ
ザレという小さな村に住むマリアという若い未婚の女性に現れました。突然、現れた
天使にマリアは驚き、胸騒ぎがして非常に不安になりました。天使は「怖がる必要は
ありません。あなたはまもなく身ごもって男の子を生みます。その子をイエスと名付
けなさい。その子は聖書が古くから予言していた救い主となる方です。神があなた方
を愛しておられるしるしとして与えられるのです。」「どうしてそんな事が起こるで
しょう。私はまだ結婚もしておりませんのに。」「聖霊があなたを覆い、神の力があ
なたに注がれます。その子は神の子と呼ばれます。神にはできないことはありませ
ん。」マリアは、答えました。「私は主のしもべです。お言葉通り、この身になりま
すように。」 実際にこの事のあった9か月後に、不思議なようにベツレヘムという
村の馬小屋で幼子を産んだのです。
神は世界を愛しておられる。人を愛しておられる。これが壮大な聖書の物語の一大
テーマです。それ故に神は人を見捨てることなく、人類を孤独に放っておくのでな
く、救い主を私たちに送られたのです。これは、いわば、神の物語です。また私たち
一人一人にも物語があります。人生は筋書きがないドラマであり、結末が見えないス
トーリーです。あなたは、今、そのストーリーのただ中にいます。試練の場面におら
れるかも知れません。非常に難しい状態におられるかもしれません。一人ぼっちの場
面におられるかもしれません。しかし、あなたの人生の物語は孤立しているのではあ
りません。神があなたの人生の物語をご覧になっており、あなたの物語に入って来ら
れます。そしてあなたの物語は神の愛の物語の中入れられ、神はあなたの人生の中に
働かれるのです。この1週間、自分の人生は神の恵みの物語の中にあることを忘れな
いでいましょう。クリスマスはあなたのためにあるのです。
東京聖書学院教会
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◆送迎バスの東村山駅の出発時間は10時10分です。