12人の派遣

説教題:「12人の派遣」
聖書:マタイによる福音書 第10章 第1-15節
説教:齋藤善樹 師
賛美:新聖歌 第140番「天つみ使いよ」1,2,3,4,5、新聖歌 第253番「イエスの御腕に」1,2,3

 主イエスの12人の弟子の名前がここに初めて登場します。最初はペトロです(ペテロ)。よくイエスから褒められたり、叱られたりする、とかく目立つ人です。それからその弟アンデレ。目立たないところでしっかりと存在感を持っています。さらに、ゼベダイの息子のヤコブとヨハネ。ヨハネが弟子の中で最も若かったようです。この4人の職業はガリラヤ湖の漁師です。さらにピリポとバルトロマイ。ヨハネ福音書を見ると随分早くから弟子になっていたようです。そしてトマスと徴税人マタイ。トマスは勇気はありますが、慎重な人でもありました。この人は後にインドに行って伝道をしたという言い伝えがあります。マタイはローマに雇われた徴税人でした。人々から嫌われる職業で、この人がイエスの弟子にいたというのは注目すべきことです。続いて、アルパヨの子ヤコブとタダイ。それから最後の一組、熱心党のシモンとイスカリオテのユダです。熱心党というのは当時の宗教原理主義の過激派と考えられます。マタイとシモンがイエスの弟子となって一緒に行動をしていたというのは、すごい事だと思います。一番最後に名前があがるのはイスカリオテのユダです。悲しいことに3年後にイエスを売り渡す人物です。 この人物については後程お話したいと思いますが、イエスの弟子たちは十人十色、気難しい人も気楽な人も異なった思想を持つ人も内向的な人も外向的な人もいたと思います。けれども彼らはイエスを中心にして、イエスに学び、実践していこうとしていました。

 イエスはこの12人を伝道のために送り出したが、彼らにいくつかの注意事項をお伝えになりました。彼らの使命は「天国が近づいた。」と宣べ伝えることです。これは、イエス自身が、宣教を始めた時と同じ言葉です。「天国」は他の福音書では神の国と呼ばれるものです。でも、なぜマタイは天国と呼んだのか?一般にマタイ福音書は特にユダヤ人向けにかかれたと言われます。ユダヤ人たちには、「神の名をみだりに唱えてはならない」という戒めがありましたから、マタイは「神」という言葉を避けて「天の国」と記したと言われます。確かにそうかもしれませんが、マタイは「天」という言葉のもつニュアンスを用いたのではないかと思います。「神」という概念は宗教によって異なります。多神教もあり一神教もあります。しかし、天は一つです。すべての生き物は天の下に生活しており、普遍的な響きを持ちます。天国とは神の恵みが支配するところであり、恵みが満ちる世界です。

 その天国とは死んでから行くところではなく、あちらから近づいてくる国です。天国は生死を超えた世界です。神の支配は今あなたのところに来ようとしているのです。 このメッセージは希望を伴っています。今の世界はあまり将来に希望を持てない状況です。20年後、30年後の世界は今より良くなっていると思えるでしょうか?次世代のことが心配です。 しかし、「天国は近づいている!神の恵みの支配はあなたの人生に迫っている」というメッセージは私たちに希望を持たせます。イエスの時代の人々もそうだったでしょう。 このメッセージは、聴く人々に決断を迫ります。天国が今まさに近づいている。私たちは信仰をもってこのメッセージを受け取るのです。このまま人生を見過ごしにしないのです。立ち止まり、天国の約束を受け取るのです。

 天国の神の恵みの支配は私たちの生活の隅々に現れるのです。天国は近づいた!神の恵みの支配は既にあなたに注がれようとされているのです。信仰をもって受け取りたいと思います。

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